新選組の若手隊士の中で、イケメンとして名をはせた美男五人衆。
その中でも特に美男と言われていたのが、佐々木愛次郎です。
しかし彼は局長芹沢鴨のために悲劇的な最期を迎えたと言われています。
今回は、佐々木愛次郎にスポットを当ててみました。
佐々木愛次郎の経歴と最期
佐々木愛次郎は、摂津(大阪)出身の隊士で、文久3年(1863年)5月頃に入隊しています。
入隊したときはまだ19歳の若者でした。
佐々木の容姿について、子母澤寛氏の『新選組物語』では、次のように書かれています。
丈はあまり高くないが、顔もからだも雪のように白く、それでいて、何処を指でつつても、撥き返しそうに引締まっていた。永倉新八老人の記述によれば、「古今の美男なり」というのである。
『新選組物語』
とんでもなくきれいな顔をした若者だったのです。
それでいて、剣術の腕もあり、思いやるもあるという完ぺきなイケメン。
そんな佐々木と恋仲になったのが、八百屋の娘・あぐりでした。
あぐりは、佐々木より2歳年下で、近所で評判の器量よしだったので、まさに美男美女のカップルです。
しかし、2人の幸せな時間はあまり長く続きませんでした。
芹沢に目をつけられたあぐり
ある日、佐々木とあぐりが仲良く連れ立っているところに、ほろ酔いに芹沢とその一派が通りかかりました。
あぐりの美しい姿に魅かれた芹沢は、自分の妾にしようと企みます。
局長芹沢の無理強いになんとか抵抗する佐々木でしたが、そこは平隊士の弱いところ、どんどんと窮地に追いやられていきました。
そんな佐々木を見ていた佐伯又三郎という隊士。
彼は、佐々木に体を脱走してあぐりと駆け落ちするように勧めました。
佐々木とあぐり 駆け落ちの結末
悩みに悩んだ末、佐々木はあぐりとの駆け落ちを決意。
ある夜に2人は手に手を取って逃げます。
2人が千本朱雀の竹やぶへたどり着いたところ、佐伯と数人の隊士が現れたのです。
有無を言わさず切りかかる佐伯。
不意打ちを食らった佐々木は、全身を切られて絶命。
残されたあぐりは、佐伯に乱暴をされその最中に舌をかみ切って自害し果ててしまいました。
実は佐伯もあぐりに惚れていて、佐々木から奪おうとしていたのです。
結局2人は悲運の最期を遂げることになりました。
この事件から10日ほど後、佐伯又三郎は佐々木とあぐりが亡くなった同じ竹やぶで斬殺されています。
犯人は芹沢の手のものか、佐々木の無念を晴らそうとした誰かか、定かではありません。
佐々木愛次郎は生きていた⁉
まるでドラマのような悲劇の2人ですが、実は、佐々木とあぐりの事件自体が、フィクションではないかと言われています。
永倉新八の残した『新撰組顛末記』には同志連名記が記載されていますが、その中に大阪浪士として佐々木愛次郎の名があります。
同じ連名記に佐伯又三郎の名もあるのですが、彼は断首されたと書かれているのです。
佐々木の方には何も書かれていません。
殺害されたとも脱走したとも書かれていないのです。
これは、もしかしたら佐々木愛次郎は、本当は殺されていなかったのかもしれなかったということなのでしょうか。
佐々木が殺害されたことが事実だとしても、その理由は佐伯のたくらみではないという説もあります。
佐々木が長州の間者だったにもかかわらず、新選組に寝返ったせいで、長州側に殺されたという可能性もあるそうです。
新選組に限らず、幕末の史料はまだ発見され続けているために、佐々木についてもまた新しい事実がわかってくるかもしれませんね。
佐々木愛次郎が登場する作品
佐々木愛次郎は、新選組平隊士だったこともあり、彼が登場する作品はそれほど多くありません。
ですが、美男五人衆という素敵な肩書のおかげか、ほかの平隊士に比べると注目度が高く、探してみると興味深そうな本やコミックが見つかりました。
おすすめの作品はこちらです。
新選組美男五人衆 かれん
佐々木愛次郎・山野八十八・楠小十郎・馬詰柳太郎・馬越三郎の美男五人衆が主人公のコミックです。
5人がそれぞれイケメンで、キュンキュンしながら読める、楽しい作品でした。
壬生狼ヤングゼネレーション 柏葉ヒロ
こちらも新選組美男五人衆がメインのコミックですが、タッチが全く違い、ギャグやシリアスシーンがバランスよくちりばめられた作品です。
個人的には、こちらの方が読みごたえがあって好きですが、どちらもイケメンを楽しめることには変わりありません。
新選組始末記 TBS系ドラマ
1977年放映のドラマ『新選組始末記』は、近藤勇を平幹二郎さん、土方歳三を古谷一行さん、沖田総司を草刈正雄さん(超イケメン!)が演じた人気ドラマでした。
このドラマをきっかけに、何度目かの新選組ブームが起こったくらいです。
第5話「隊士絶叫」は、佐々木とあぐりの悲話を描いています。
ちょっとリアルな表現もあるので、今なら軽くR指定が入るかもと思える描写がありますが、それだけに悲しくてむごい物語が浮き彫りになって来るようです。
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